takeshi nagayama's blog

A weblog about Design, Tech, Japan and Kyoto.

So long, and Thanks for all the fish

2004年、僕が前職で広告の制作をしていたころ、当時住んでた初台のマンションではてなが東京にくるというレポートを深夜まで読みながら、「あのはてなが東京にくるんだなー」とひとり興奮していたのを昨日の事のようにように覚えています。

ちょうどそのころは仕事で大学にwikiを導入しようとしていて、日本のwiki活動家の皆さんやwikiばなの存在を知って、wikiばなVol.2の懇親会に参加させてもらったのでした。今みるとすごいメンツだった…。

そこにはてなIDを入れた名刺を作ってもっていって「名刺にはてなIDいれてくれるなんて嬉しい」と、そんな会話をしたのが近藤さんとの初めての会話でした。

2005年にはblog hackers conferenceがあって、そこではじめてセコンさんと会って、2006年に彼がはてなに入社して「はてなかーすげーなー」って思っていて、でもそんなスゲー人ばっかりがいる会社は手の届かぬ存在だよなーと思いながら悶々とした日々を過ごしていました。

その頃からなぜか僕は幹事というキャラが定着していて、shibuya.jsというJavaScriptのイベントで幹事したりとか、YAPC2006とかRubyKaigi 2006とかでも幹事をして、名立たるスーパーハッカー達に「サブテク入りたい!」っていう習字を書いてもらったのは今でもいい思い出です。

そのYAPCにスタッフとして参加していたら、はてなのスタッフのみんなもがんがん手伝っていて、その時にたまたま近藤さんとランチに行って、そこで転職を考えているという意志を伝えたんだと記憶しています。

その後セコンさんや近藤さんとのやりとりがあって、憧れだったはてなにデザイナーとして入社。奮発して買った自転車に乗って、代官山にあるオフィスに通いはじめました。

入社してみたら、いきなり開発にアサインされ、どんどんサービスや機能はリリースされていくし、なんだか話を聞いてると社長はアメリカ行っちゃうみたいだし、これは「たいへんな所に来ちゃった」という感じだったけど、狂騒のような日々はとても楽しくて、毎日遅くまでサービスの事について議論したり、ビールを飲んでゲームをしては隣の会社の人に怒られたり、1ヶ月とか2ヶ月というのが本当にすごいスピードで過ぎていきました。

たくさん開発したし、たくさん遊んだ。僕は大学に行った事がないからよくわからないけど、たぶんあれが青春だったんじゃないかと思います。

京都に本社が移転するっていう話がでた時、最初僕は反対していて、東京に残るという気持ちがずっとあったんだけど、たまたまシリコンバレーのオフィスに出張に行って、そこでも朝から晩まで開発して、晩から朝までお酒を飲んで、やっぱりこのみんなと一緒に働いていたいなと思って、今の妻を説得して京都に移り住んだのでした。

京都に移ってからの大きな仕事は、はてなブックマークの全面リニューアルでした。

その後もずっとはてなブックマークの開発に携わり続け、最後にはサービスディレクターにアサインされ、タスクの管理からチームのマネジメント、サービス企画や意思決定まで、本当にいろいろな事を経験させてもらいました。

手を動かす現場からはちょっと離れたので少し寂しい気持ちもあったけど、チームメンバーはみんな若くて優秀で、彼らの力を思う存分に発揮する場を作るのが僕にできる事なんだと思って、手探りしながらどうにかこうにか開発を進めてきました。

僕の力はほんとに微々たるものだったし、迷惑をかけた事もたくさんあったけど、たくさんのユーザーさんと、スタッフのみんなに支えられ、はてなブックマークは今日も元気に動いています。

はてなと僕との関係はまるで恋愛のようで、すごくたくさんの事を教えられたし、僕なりに精一杯の愛情を注いできし、時にはケンカする事もあったけど、やっぱりはてなという存在に魅了されていたし、やっぱり大好きな場所でした。

僕がはてなで見てきた風景は、僕の人生からは絶対に消える事はないし、きっと今後の人生に影響を与え続けいくだろうと思います。

でも今日でおわり。合鍵も返しました。

自分の父親をはじめとして、たくさんの経営者や起業家の姿を見て、自分の力で事業をしたいという気持ちにどうしても勝てなくなってしまいました。

もし今後どこかで「いろいろデザイン」という屋号を見たら、きっとそれは僕がインターネットから受けたたくさん恩恵を、どうにかもっと多くの人に返していこうとあがいてる姿なので、どうかあたたかく見守ってください。

今まで本当にありがとうございました。

今後ともよろしくおねがいします。